「新参者」東野圭吾(講談社)

東野さん、追悼二冊目。これもなかなかの傑作でした。
我が家には、東野文庫(!)があって、20~30冊並んでいたりする。姉夫婦が好んで読んでいたものを回してくれて、家人も好みのよう。自分は数冊読んで、以前は、少し自分の好みとは違うかなと思っていたのだが、改めて手にして、推理小説としての面白さは抜群であるだけでなく、この加賀恭一郎シリーズは、なかなか人間が描けていて、読んでいてじんわり、ほっとするなあと思った次第です。
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本作は、東京小伝馬町で起こった殺人事件を、所轄の日本橋署の「新参」刑事、加賀恭一郎が見事な推理をしながら解決へと導く話。東京下町の雰囲気がよくでていて、小間物屋、カフェ、煎餅や、おもちゃ屋、割烹など、加賀が担当の地域をくまなく歩きまわり、それぞれの店主や家族、雇人などの、事件とのかかわりをうまく解き明かしていく。この本は短編小説9篇の集まりという体裁で、次々、事件現場付近に住む人たちの小さな秘密が明かされ、そこにまつわる人情物語が披露されていく。でもどの人物も犯人ではなさそうな。最後までひっぱりながら、裏で加賀がいろいろ動いて事件の全体像を作り上げるという雰囲気。
この形のストーリー構成には、これまでみたことがないような新しさが感じられた。そして単なる殺人事件と犯人捜しにとどまらず、人事の機微、人情というものを、東野さんは描こうとしているんだなあとよくわかった。一冊通して、本当の悪人はいないというか、邪悪なものが描かれないので、安心して読める。面白かったです。

ウィキによれば、

「新参者」(しんざんもの)は、東野圭吾の推理小説である。『このミステリーがすごい!2010』並びに『週刊文春ミステリーベスト10』において1位を記録している。

とのこと。確かにその価値あり。

 

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