「流」で直木賞、「僕が殺した人と僕を殺した人」で読売文学賞をとった東山彰良。いずれも最高レベルで面白い青春小説だったのだが、2026年3月30日初版というできたてほやほやのこの「ママがロックンロールしてたころ」、ちょっとワクワクしながら読み出した。
両親がロッカーで、子どもに炳児ペイジという名前をつけるほど。二人は離婚し、ペイジが10歳の時に、突然ママが現れてペイジをサイドカー付きのバイクに乗せて、小さな旅にでかけることに。ペイジは父の薫陶よろしくいっぱしのロックギタリストになり、中学時代から天才少年扱いされるのだが、やがておきまりの、神童からただの人へという流れ。大人になり、音楽への情熱を捨てきれずアルバイトをしているページに、亡くなった母の面影のある女性たちが現れて…という小説です。
相変わらず、パワフルで饒舌で、青春の熱気とやるせない抒情があふれる東山彰良らしい小説。デビューの頃のそのままの風景が、今度は日本の奥多摩が舞台だけれど、そこに展開していて、東山は変わらないなあ。ただ、どうなんだろう、もう少し違ったタイプの小説を書いてもいいのにと思ったが、この人ももう50歳を過ぎたんだ。
無数といっていいほど、ロックの名曲が現れる。次々に。知らないものも多いので、ちょっと立ち止まってユーチューブに音源を探したりしながら、楽しく読める。そしてペイジの名前とおり、ブラック・ドッグとかロックンロールなど、レッド・ツェッペリンの名曲が次々頭の中に再生されるのであった。
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