「猫屋台日乗」ハルノ宵子(幻冬舎)

吉本隆明の長女のハルノさん、漫画家でエッセイスト。実は猫屋台という、週に一回か二回しか開店しない気ままな料理屋・居酒屋の女主人でもある。
この本は、お店で出す料理の話をメインに、隆明の思い出、隆明以上に変な奥様の和子さんのこと、16年生きた猫のシロミのこと、そして店にやってくる隆明とつながりのある変人さんたち、有名人少し。ハルノが買い物にでかける地元の町の人たち、なにより、買い物ついでに一杯ひっかける地元の食堂や居酒屋の話など、一話8ページくらいで読ませる食エッセイなんだろうな。一話ごとに、最後に料理と猫の絵が描かれていて、この絵を見るだけでも楽しいのであった。

ハルノ宵子は「隆明だもの」と「開店休業」を読んでいて、父親とはかなり違った個性の持ち主だけど、同じように聡明な人なんだなと思っていた。今回読んで、この人は結構批判精神が旺盛で、凝り性で、人懐こく、人恋しい方なんだと感じた次第。マンガを描く傍ら両親の看護と介護をずっとされてこられたのだろう、でも苦労話はほとんどなくて、普通の娘(家付きの)の親への愚痴だけ、だれでもありそうな実は愛情に満ちた苦言みたいな、そんな独り言が聞こえてくるようだ。

店にやってくる父のかつての知人たちも年を老いた。ハルノももう70近いのでは。日本という国もまた老いていくばかりなんだな。吉本を知っている人もだんだんいなくなるしね。日本は衰退していくばかりだしね。

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