岩波新書3月の新刊から。古川では岩波新書は買えないのです。岩波は買い取り制度やってるはずで、やはり仙台とかの消費者多いところじゃないと、エンタメ系以外の本を買取で売るという方針がとれないということでしょうか。「アマゾン」で本を注文する人は多いでしょうが、自分は「反アマゾン」の人間なので、使う気がない。アマゾンの書評の投稿欄は大いに参考にしてますが。本は見て触って選びたい感じです。
帯の通りの本。「身近な違和感を起点に男社会に風穴を開けた12人の革命」まさにそんな本だけど、さすがに12人だと多すぎて、一人当たり10ページ強か。紹介的なところで半分、その評価で半分の紙数が使われるので、わりとあっさり。逆に雑誌の連載的なものと思って読めば結構楽しめる。というか、この本は岩波の「世界」の連載だったものを大幅加筆したものだそう。
黒柳徹子、土井たか子、鴨井洋子(下着革命の旗手)、山崎豊子、吉田ルイ子(アメリカ在住のカメラマン、ジャーナリスト)、吉永小百合、ゴーマン美智子(マラソンランナー)、大橋鎮子(暮しの手帖の創始者)、角野栄子(童話絵本作家、魔女の宅急便の作者)、平野レミ、中山千夏、田辺聖子をとりあげて、戦後日本を女性と文化という視点から描き出している。土井たか子だけは政治の人なのでちょっと異質ですが、いわゆるさ「サブカルチャー」「エンタメ」系統の有名女性たちをとりあげて、戦後の昭和の時代に、人々の暮らしとか、日常生活の指針とかに大きな影響を与えた女性たちの姿です。女性の力はおそらく70年代の「ウーマンリブ」活動を契機に大きく世にとりあげられ、やがて、男女雇用機会均等法(1985年 → 1997年改正) 男女共同参画社会基本法(1999年)などを通して社会制度として整備されていく。それと並行するように、様々な女性の生き方にスポットライトがあてられていく、という流れだったのでしょう。
筆者はそれぞれの自伝、手記、エッセイなどを詳しく読み、人物像を本人の書いたものを中心に組み立てているが、紙数の制限もあるし、どうしても伝記的部分ははずせないので、他者からの評価という点ではちょっと物足りない部分もあるかも。それでも、幾人もの人物をとりあげていくことで、戦後の女性たちの群像的パースペクティブが得られるという利点もある。
いちばんおもしろかったのは黒柳徹子のパート。「ザ・ベストテン」で、「どうして、黒人のくせに、フランスの香水の名前をつけるんですか」という視聴者の問いに、視聴者を厳しく批判した話とか、「徹子の部屋」でタモリがゲストのときに、「来年はどんな年になりますかね」と問いかけ、タモリが「新しい戦前になるんじゃないですかね」とタモリには珍しく政治的ニュアンスの発言をした話とか。これ2022年のことだったみたい。
もう一つ。土井たか子の話。
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1937年に父が軍医として鞘腫され中国戦線に送られた。41年に帰還した父は戦場のことは何もしゃべらなかったが、「やっぱり嫁にやるときは、相手に凶暴性があるかどうかを、相当調べなきゃだめだ」と口にしたという。その言葉から、土井は父親が戦場で目撃した光景を推し量った。
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今の時代のレイシストたちが、戦場に行ったらそうなるんじゃないかなと思った次第。
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