「汝、星のごとく」凪良ゆう(講談社)

凪良ゆうさん、二冊目読了。こちらも2023年の本屋大賞を受賞するという快挙。そういえば、朝井リョウの「イン・ザ・メガチャーチ」が今年本屋大賞をもらったみたいで、慶賀の至り。本屋大賞は「売れ線の本が選ばれる」みたいな評価もあるが、まあ大衆受けするし、普通のすれてない読者ならきっと好きになるだろう作品、ということでしょうか。 
この本も面白い。恋愛小説なのだが、まあ「運命の二人」ものですね。前回読んだ「流浪の月」も実にハードな恋愛小説なんだが、設定が誘拐犯の男と被害者だった少女の恋愛だったわけで、あちらは特殊な設定。こちらは、瀬戸内の小さな島で出会った二人の恋。男はマンガ原作者となり島を離れ東京で暮らす。女は母親を捨てきれず、島で生きる決意をする。10代から、少しずつ年をとっていき、最後は32才までか、二人の語りが交互に繰り返される形。設定としては、特に目立つものではない。
シングルマザーとか、ネグレクトとか、LGBTとか、男にだらしない母親とか、そうした周辺環境の中で、時に流され、ときに抗い、くっついては離れを繰り返しながら、自分の生き方をみつけていくという物語。今回は「流浪の月」と違って結末はちょっと悲しい。

面白いんだが、なんというか、ちょっと一本調子かも。いい意味で読み手をあっといわせる仕掛けはない。あとわけのわからないタイプの登場人物がいないので、意外性が少ないかも。ただしいくつうーんとなるところもある。たとえば、「北原先生」のような人はいないだろうな。仙人すぎる。「瞳子」さんのような人もいないだろうな。この理屈(失礼)論理性は、女性っぽくないかも。そして何より、両方の母親が凄すぎて頭が痛くなる。二人の編集者は逆に、どっちもいい人過ぎて、結構味方が多いねという感じ。そして、何より「暁海」の「しゃべり」が長すぎ。自分の行動の説明になっているところが多いので、小説としてはやや破綻気味というのが、後半の印象。説明が長すぎて滞っている感じがあって、ごく一部飛ばし読み。
でも、ここまでいいながら最後まで楽しく読めたのは、やはり物語の力なんだろう。悪くはないです。完全な恋愛ものなので、好みでない人には無理。恋愛ものが好きな人にはたまらないかも。

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