「流浪の月」凪良ゆう

2020年の本屋大賞受賞作品。登場人物のキャラが立っていて、映像化するといいのかもと思ったら、22年に松坂桃李と広瀬すずで映画化もされたようで、ネットでその予告動画がいくつもでていた。なかなか迫力があって、一気読みさせる力のある作家だと思う。
8歳の少女と誘拐犯の19歳の大学生。二か月にわたる二人の生活の中で、少女と男の間に深い絆が生まれていく。そして、当然の破滅。それから15年が過ぎて、二人はまた出会うことになる。それはある意味逆説的な運命的出会いであった。
幼女への性的指向とか、DVとか、ネットリンチとか、なかなか凄まじい世界が繰り広げられながら、更紗と文の強く固い絆が、お互いの心を支え、救い合う。美しい物語であった。
本文中、「ストックホルム症候群」について、何度も言及がある。周りの人物に、それはストックホルム症候群だからと、無理やり主人公の気持ちを解釈して、ますます主人公を絶望に追いやるというパターン。本当の理解者などいない、二人以外には、という方向に物語が流れていく。

面白い。ただし、やはりちょっとパターン化してるかな。亮の描き方、沙羅の失踪した母親の描き方、どちらも少しリアリティにかける感じが残る。もうちょっと書き込んでいい。沙羅と文の物語が前面に出すぎて、他の登場人物がかなり薄くなっていて、二人で突っ走りすぎなところもあるんじゃないかな。二人は、やはりちょっと特殊なタイプの人間で、全面的に共感するか、というと、そうでもない。ここは評価が分かれる所だろうけど。


 

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