穂村弘の短歌エッセイ  朝日新聞4/2「言葉季評」から

 

日常の短歌なんだけど、ちょっとニヤっとなるものを、朝日以外の媒体から(二つは穂村が編集した本から)穂村さんがいくつか選んで、短評を寄せながら、日本の今について考えるという趣向のエッセイです。

   ・ユニクロへ買いに行くからユニクロのシャツは着れない無印を着る

            榊原猛「日経歌壇」

   ・吉野家で牛丼食べるその時の思い浮かべる松屋とすき屋

            小杉なんぎん「日経歌壇」

   ・旅行だしちょっといいメシ食べようとコンビニでいくらのおにぎり買った

            美那子「短歌ください 明日でイエスは2010才編」

   ・「こんにちは」と挨拶しつつコンビニに入りゆく祖母を恥ぢて恥づかし

            福士りか「フェザースノー」

   ・生きていく理由はいくつおつけしますか?生まれた意味はあたためますか?

            栗原夢子「短歌ください 君の抜け殻編」

どれも、「なんかわかる~」とか「うんうん、そうだよね」という感想を持ちそうな日常の一コマですね。この中では「いくらのおにぎり」が自分的にはいちばん受けた。

最初の3作品は、いわゆる「短歌的抒情」とはだいぶ遠いところにいて、日常の断片とその中で定型化している自分の行動の中にある、これなんだか面白いかも、という思いを描いたもの。後ろの2作品は、「批評」が入ってきているかな。祖母を恥じる自分を恥じるというのが、ちょっと一般的すぎるかも。最後の「ソースはおつけしますか」のもじりなんだが、サンドイッチマンのコントでもうちょっとうまく笑えた。こちらの作品は、知が立っているという感じが少しする。これも世相に対する「批評」で、これはこれでいいんだが。


*画像は、ヒゴスミレ。希少種です。

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