エマニュエル・トッド「米国の暴走 日本の錯覚」朝日新聞インタビュー2026/4/9

「西洋の敗北」の哲学者、思想家のエマニュエル・トッド。4/8の朝日朝刊にインタビュー記事が載った。とても分かりやすい記事だったので、以下にまとめてみた。

米国の二つの敗北をしている。ウクライナでの対ロシアの敗北では、製造業が衰えた米国は十分な兵器をウクライナに供給できていない。第二の敗北は、対中国。関税で威嚇したらレアアース禁輸で脅され、撤退してしまった。いまのイラン戦は、これらの重要な敗北から目をそらし、トランプ自身が、自分でもその失敗を忘れるためのものといえる。

アメリカの政権では、道徳的・精神的価値観が崩壊し、空虚感の中で、破壊や殺戮そのものを楽しむ「虚無主義」がひろがっている。意に沿わない他国指導者を暗殺したり、拉致したりするのは、現代の常識ある政治の世界ではなく、狂気の結果である。これは軍同士が戦う「戦争」ではなく、個人を標的にした「暗殺」そのもの。アメリカはもはや三権分立の機能する「共和国」ではなく、大統領、国防総省、CIAからなる「帝国」に変質してしまった。アメリカは虚無的な暗殺国家へとなり下がった。

日本の女性首相誕生について。日本社会がどう変化して、女性首相が誕生したのかはまだ評価できない。一般的に女性初のリーダーは、男女に違いがないことを証明するため、男性的にふるまうことが多いもの。高市首相がサッチャーを称賛しているが、サッチャーは危険な人物。英国の労働者階級と産業システムを破壊した人物である。

首相の対中国の姿勢は、「空想のナショナリズム」の典型例。ナショナリズムとは、自国の主権を求めること。対中国を考えるより前に、対米を考えることが今は必要。沖縄の現実を見れば、それはわかるはず。空想でなく、現実のナショナリズムの視点に立てば、国内にある外国の基地を取り戻し、主権を求めるのが自然なこと。アメリカの「分断して支配する」という戦略にのせられている。

台湾問題について。台湾は文化的にも国際政治の現実でも、中国との関係を無視して語れない。かつて80年前日本の植民地だった時代はもうとっくに終わっている。「中国との関係を悪くすることがナショナリズムだ」と錯覚するのが「空想のナショナリズム」だ。

日中韓東アジア3国は、深刻な少子化という共通の構造的課題に直面している。また儒教的文化背景を共有している。これまでの輸出主導の経済発展モデルも共通している。日本は米国から静かに距離を置き、中国を含めたアジア諸国と平和的に理解と関係を深めるべき。そのように進めば、多極化する世界のなかでも、中国やロシアを含めて多くの国が日本の存在感を認めてくれるだろう。

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以上が今回のインタビュー概要です。

トッドを含めて、物を考えられる人間なら、誰もイラン攻撃に賛成しない。でもトランプは、常軌を逸した人間であり、その周辺にはトランプを利用して金を稼ぎたい、出世したい、人を見下したいという「欲の塊」のような人間が集まっており、この「悪の集団」はなかなか手ごわい。まず金を持っていて、情報操作するし、それに右往左往しながら騙されていく大量の人間たちがまるで、周りで「××の壁」を作っているわけです。

高市首相は、アメリカのMAGAや福音派のような大きなバックはいないので、いずれ消えるんだろうが、操られ右往左往する人間は日本にも多数いるので、そのあたりをいかに取り込むか、広告系とかコンサル系とか、どう握るかで今後が決まるのかも。そうなってほしくない。一人一人が自分で考えて投票行動をとってほしいのだが。民主主義は難しいものである。

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