「終点のあの子」柚月麻子(文春文庫)

柚月麻子さんのデビュー作。2008年のオール読物新人賞をとった「フォーゲットミーノットブルー」と他の三つの短編を合わせた連作小説で、本になったのは2010年。柚月の原点と言っていい、このあくの強さとか、激しい女(の子)の感情とか、裏切りとか許しとか、もろもろ後年の柚月の小説に現れる特徴がすでにあちこちに芽生えている感じ。可愛い系の話ではないので、やや不快に感じるところもあるが、基本は軽い読み物風で、まあ面白く、あっという間に読める。
四つの短編は、言ってみれば「反」女子友情物で、「反」青春小説というか、それぞれのストーリーの主人公の相手役、脇役が次々主人公となって、それぞれの場面の裏側、相手の感情などを明らかにしていくような仕組み。「ナイルパーチの女子会」は30代女性の話で、あれも語り手が代わっていく話で、構造とかテーマが似てるところもある。あちらは大人の話、こちらは女子高生の話で、もしかしたら続編?って思ったり。
突然沸き起こる激情があって、状況は逆転して、強く後悔したり、誰からも相手してもらえなくなったり。自業自得とわかっていても、寂しい、でもやっぱりわがまま。そんな女(の子)の世界を書くのが上手い。作中にでてくる、オタク系の太目でダサい女の子、読む本は田辺聖子、川上弘美、東海林さだお、椎名誠とかでてきて、時代を感じさせるところも。

あと、この人は、とにかく読者を引っ張っていく才能がある。読ませる作家です。2026年1月に映画化された。知らない若い女優さんたちの映画、プレビューを見たけど、こちらにきたら見に行きたい。

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