柚月さん、これで三冊目。自分にとっては、かなり中毒性のある作家みたい。とにかく「始めは処女のごとく、後は脱兎のごとく」ということわざがあるけど、まさにそんな感じで、どんどん過激にエスカレートしていく「柚月節」炸裂という感じ。2019年4月初版。
この年の直木賞最終選考で(これで柚月さん5回目?)選者の林真理子は「この作者のいいところが全開となった。ストーリィーテラーとしての才能、ことにハリウッドを巻き込んでの「大風呂敷」には感嘆した。」また、浅田次郎は「実に面白く読んだ。たとえ文学賞の候補にならなくても、書店で買い求めて読む作家のひとりである。このすばらしい才能を、どのように制御し、かたちにするか。」と述べている。自分もこの二人に同意。柚月さんの才能というか、小説のアイディアの豊富さには圧倒される。
75歳の正子は、かつて若手の女優としてデビューし、映画監督の浜田壮太郎と結婚し、女優をやめ子育てをし、夫に仕えてきて50年。ついに二人は家庭内(敷地内)別居となる。豪壮な洋風の館に住んでいるが、相続問題がのしかかる。あるとき、荘太郎のファンだったという若い女性杏奈が訪ねてきて、正子はやむを得ず杏奈と暮らすことになる。
一番大きいのは経済問題。夫の残した借金をどうやって払い、年金もない自分の今後の生活をどうするか。杏奈がメルカリの利用を教えてくれ、屋敷内のものほぼすべてを売り払ったり、さらに家をホーンテッドハウスに作り替え、近所の人も巻き込んでビジネスを始めたり、おとなしく夫に仕えてきたというイメージの正子だったはずが、いよいよその正体を現していく。といっても、ただのわがままで目立ちたがり屋で、仲間思いで、自分勝手なくらい…さらに事態は進行し、正子は大きな渦にまきこまれていく、というか、みんなを巻き込んでいく、という「おばあちゃんの物語」なわけです。
笑えるところ、しんみりするところ、そこかよ~!とつっこみたくなるところ満載で、このノリを受け入れるか、わたしは無理となるか、読者をわけてしまうような一冊であった。
もちろん、私は大好き。
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