村上春樹以降、日本文学が一気に翻訳されて英米で読まれるようになった。特に村田紗耶香の「コンビニ人間」の爆発的ヒットが目立つ。川上未映子、小川洋子、多和田葉子、柳美里など全米図書賞やブッカー賞候補がずらり。こうした日本の若い女性作家たちがどのようにして翻訳され売られているのかがよくわかる。何より、世界文学になりつつある日本の現代文学作品のブックガイドにもなる。とてもいい本。
村上春樹について、海外の評論家や翻訳家たちの考えがいろいろ紹介され興味深い。日本ではさんざん出尽くした感があって、もう春樹論は読むことはないのだが、海外の書評、作家論はなかなか面白い。「ねじまき鳥クロニクル」に関して、英語翻訳では別の形があったこととか、「1Q84」に関する、冗長だとか繰り返しだとか女性蔑視的だとか。「騎士団長殺し」の既視感なども指摘され、鴻巣さん、これをもって村上の海外評価が低調になった兆しを感じたらしい。そうだよね、「街とその不確かな壁」なんて、「世界の終わり…」の焼き直しだもの。繰り返される井戸のイメージとか。それでも村上は1Q84までは世界的作家だったのは間違いないですが。
村田紗耶香が大いに売れていることについて。「コンビニ人間」は確かにすごかったし、芥川賞は全く妥当と思ったが、この「ゴシックロマン」感と海外で呼ばれるものは、現代日本文学の特に女性の作品にあちこちで見られる感覚かもしれないと思う。今村夏子なんかその印象が強い。川上未映子にもみられるもの。
川上未映子は「ヘブン」「すべて真夜中の恋人たち」「「乳と卵」「夏物語」あたりまで翻訳されているみたい。どの小説も面白いし、着実に進歩というか進化している作家だと思う。「黄色い家」がいま翻訳中のようで、来年完成しそう。また海外で一大ブームになるんじゃないでしょうか。
海外での翻訳事情が大きく変わって、英語一辺倒から世界の文学へのまなざしが変わったこと、翻訳スキルがあがり、翻訳者スクールがどんどん作られていること、など日本文学だけでなく、世界の文学がどんどん英語に翻訳されているのが現状。日本の若い作家たちが海外で「発見」されていっている、これが今の翻訳業界の姿みたいです。
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