2008年の「このミステリーがすごい!」大賞受賞。ちょっと古い本だけど、柚月裕子は先日「慈雨」を読んで、一気読みさせる面白さ、読みやすさに感心したばかり。今度はこのデビュー作を借り出してみた。
こちらも一気読み。この人、結構テンポよく書いていく作家で、滞る感じがない。ミステリー作家なのだが、謎解き重視というわけではなく、人間ドラマを書く感じの作家。
今回は、知的障害施設と精神科病棟の闇のようなものをとりあげた社会派ミステリーというか。タイトルが臨床真理で、これはもちろん臨床心理にひっかけたもの。臨床心理士の若い女性美帆が、同期で友人の警察官栗原と共に、施設で行われていた巨悪に立ち向かう話。
もう一人メインキャラクターいて、人の話の嘘を色で見抜けるという共感覚の持ち主の10代の男性患者の司。美帆は、司が同じ病棟にいた若い女性彩の自死に疑いをもっていることに気づき、司に寄り添ってその秘密を探ろうとする。やがて美帆も次第に危険にさらされていく、というストーリー。
やや気になったところは、美帆の行動が大胆すぎて、普通はここまではやらないだろうなと思う場面が何か所か。性暴力の描写が女性作家と思えないほどハードで、ちょっとグロいかも。でもまあ、「このミス」大賞といって違和感はない作品だった。
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ちなみに最近の「このミス」1位をひろってみると…
2025年 地雷グリコ(青崎有吾)
★2024年 可燃物(米澤穂信)
2023年 爆弾(呉勝浩)
★2022年 黒牢城(米澤穂信)
2021年 たかが殺人じゃないか(辻真先)
2020年 medium 霊媒探偵城塚翡翠(相沢沙呼)
2019年 それまでの明日(原尞)
★2018年 屍人荘の殺人(今村昌弘)
2017年 涙香迷宮(竹本健治)
2016年 王とサーカス(米澤穂信)
★2015年 満願(米澤穂信)
2014年 ノックス・マシン(法月綸太郎)
などである。★は私が読んだ作品。まだまだ面白そうな本があって、楽しみ。
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