『カフェーの帰り道』が受賞とは知らず、その前の2023年の長編『襷がけの二人』を借りていて、さっそく読了。こちらも大変面白かった。というか、夕方3時ごろから読みだして、10時に読み終わっていた。「巻を措く能わず」という言葉通りの本。
この作品、2023年下半期の直木賞最終候補に選ばれていて、その回は河崎秋子「ともぐい」と万城目学「八月の御所グラウンド」が受賞。「襷がけの二人」は惜しくも次点となっていた作品。多くの評者から好感を持たれた作品。
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東京下町。大正15年に平凡な家庭から親の友人の息子のところに嫁いだ千代。そこには二人の女中さんがいて、特に年上の女中初衣から、家事のすべて、なかでも一般家庭とは思えないような料理の数々を学んでいく。一方で夫とはなかなかうまくいかず。初夜で失敗して、長く気まずい思いを続けている。でもそれ以外は千代はずっと幸せだった。芸者をしていた初衣の過去も明らかになり、それでも実母以上に母のごとく姉のごとく初衣を慕う千代。二人と若い女中のお芳の三人の「ガールズトーク」的な雰囲気がなかなか良くて、読んでいて快適。むろん嫌なこと日常の齟齬はそれなりにあるのだが。そして、やがて時代は戦争へ。東京大空襲を経て、運命がすっかり変わった三人のその後。
女同士の「バディ小説」の風情で、三浦しをんの「お稽古事・師匠」小説風でもあり、戦前の家庭料理読本でもあり(何しろ一般家庭で牛タン一本買ってきて、料理を作るのだから)、読みどころ結構あり。ただし、男性にとって結構ショッキングな場面もあって、これ、基本は女の小説だよなとも思った次第。
面白いです。お勧め。『カフェーの帰り道』を早く読みたい。
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