イギリスのミステリー文学賞の翻訳部門で大賞を受賞した『ババガヤの夜』。日本人の受賞は初めてで、テレビニュースでも話題になった作品。もともとは2020年の作品で、国内では受賞はしていないが、翻訳されて初の快挙となった。図書館では貸し出し中のようで、『他人屋のゆうれい』を代わりに借りたものの、そっちはまあ普通の面白さではあった。正月にようやく本屋さんで文庫を見つけて購入という運び。
ミステリーというより、アクションものというべきか。若い女性の主人公新道依子は子どものころから祖父に鍛えられて、あらゆる格闘技と戦い方を身につけてきた。たまたまヤクザ組織の会長の一人娘尚子のボディガードとなり、そりが合わなかった二人の間に微妙な友情が生まれ、尚子の運命に巻き込まれていく、ストーリー。一番の特徴は、アクションシーンと残虐場面。ヤクザの御屋敷が舞台なので、会話も何もあったもんじゃない、殴る蹴るの世界ばかり。尚子と二人いるときは、静かな時間なのだが、それもひと時のこと。ミステリー要素は後半に少しでてくるが、一つのトリックがあって、それはいいのだが、その後半のストーリーがいまいちすっきり描かれておらず、やや欲求不満になってしまう。
新道依子というキャラクターはなかなかいいのだが、それを活躍させる場面があまりに「ちゃちい」のでは?もう少し広い世界にだして、もう少し巨悪的なものと戦わせたい感じが残るのであった。日本のミステリー文壇ではあまり評価されないだろうな。大藪晴彦賞の対象作品かと思うが、そちらともまた違う感じも。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
以下ネタバレあるので、閲覧注意
新道の育ちについては、もっと書いてほしい。特に祖父のこと。どういう意図で孫を格闘家というかマシーンのような人間にしたのか。それが明かされなければ、本人の自己鍛錬も成り立たないと思われる。
女性の格闘家は、体格の問題もあり、どうしても素手での勝負は不利のはず。スーパーキラーになるには、刃物などの達人というキャラにしないと無理があるのでは。あるいは中国武術の達人で急所狙いで一撃必殺みたいな存在にするか。普通に打撃とか蹴り、投げでは、男性格闘家を複数相手にするのは難しいと思われる。そのあたりが、なんか「嘘くさい」感じが抜けないのであった。
この小説、200ページくらいだが、そのあたりがまったくでてこないので、なんで戦っているのか、が不明。300ページくらいに増やしてほしいもの。なお、このキャラはせっかく作ったんだから、もっといろいろ活躍させたらいいのにと思ったら、最後に年とっちゃってもう使えないとは!もったいない話である。
コメント
コメントを投稿