半藤一利によるノンフィクションをもとにした本作は、太平洋戦争終結の日、昭和天皇の玉音放送に至るまでの激動の24時間を描く物語。無条件降伏を求めるポツダム宣言をめぐって閣議は揺れながらも、1945年8月14日には受諾が決まる。終戦を告知する玉音放送の準備が進む一方、受諾に反対する青年将校たちはクーデターを計画していく。
三船敏郎、山村聰、志村喬、笠智衆、加山雄三、新珠三千代がキャストに名を連ね、ナレーションを仲代達矢が担った。脚本は1966年製作の「大菩薩峠」でも岡本と組んだ橋本忍が執筆している。
2015年には、松坂桃李主演でリバイバルしている。
本当に1945年の8月14日から15日にかけて、閣議の様子と陸軍青年将校たちのクーデターの様子が交互で描かれている。
「狂気」と「理性」のせめぎあいというべきか。すさまじい一日であった。昭和の有名俳優たちが見事な演技をしている。あまりにみんな怖い顔をしているので、結構肩が凝ってしまうが、あっという間の2時間半だった。
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NHKの「新・ドキュメント 太平洋戦争1945」は日本が崩壊していく1945年に、子どもや親が戦争に巻き込まれていく一般市民の、一つ一つの物語を丁寧に。勤労動員していた娘を広島に残していた父親の後悔、フィリピンの在留邦人の家庭の崩壊、沖縄の最終戦にのぞんだ工場長と少女工員たちの最後など、兵士ではない日本人が巻き込まれていくすさまじい不幸…
とても静かな物語なだけに、泣き叫ぶような感情的な物語でないだけに、その深い深い悲しみがそのまま伝わってくる。そして、人間の狂気について。あと2千万の日本男児が特攻すれば戦争は勝てるとか…、深く刺さる、とてもいい番組だった。
母のことを思い出す。母は事情があり、太平洋線中に父と離れ離れになり祖母と二人で名古屋に暮らしていた。その後故郷のある富山県に戻り、新湊で父と結婚し、私と姉を産んだ。今思うともっともっと戦争中の話を聞いておけばよかったと思う。
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日本人300万人を含め中国、朝鮮、東南アジアで数千万を死に追いやった、日本軍というのはいったい何だったんだとあらためて嘆息する。とめられない何か、ある種の袋小路にはいりこんでいった軍部(特に陸軍)の動き、今になって明らかになっているが、当時は誰にもどうすることもできなかったんだろうな。人間というのは恐ろしいものだ。
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