敬愛する高橋都先生が昨年亡くなられ、晩年に描かれた作品が野草園のギャラリーに展示されている
素敵な作品がいっぱいあって、スケッチも水彩もコラージュ風の作品も、いろいろ種類豊富で、都先生こんなに多才だったんだとびっくり。山歩きを少しされていたようで、七ツ森の絵がいくつかあった。何より色彩が明るくてとても印象的だった。
都先生と初めてお会いしたのは自分が30歳のころ、先生は50代半ばだったと思う。学年主任であったり、生徒指導部長であったり、家庭科教育の場であったり、あらゆる場面で見事なリーダーシップを発揮されていた。自分は下から二番目のぺーぺーで、しかも生意気盛りの教員で、先生にはずいぶんと指導をいただいたものである。先生が退職されるまで同じ学年で、職場での座席も近く、よくお話をさせていただいた。
自分は、男子校の気仙沼高校で6年勤務した後の転勤で、初めての女子高、しかも単身赴任ということでかなり不安な出だしだったのだが、先生には暖かい言葉をかけていただき、それだけでなく、暖かいお弁当などをときどき差し入れていただいたのも忘れられない思い出である。今思うととんでもないことなのだが、先生からいただいたお弁当のご飯が、玄米ご飯で、初めてで硬くて食べきれなかったら、「あら、これ体にいいんだから、ちゃんと食べないとだめじゃない」なんてご指導もいただいた。多分、ききわけない男子生徒みたいな感じで思っておられたんだろう。いまだと大喜びでいただくんだけどなあ。
いくつも思い出はあるが、もう一つ。2年生を一緒に担当したとき、修学旅行の指導などで生徒の学年集会を開いたときのこと。様々な連絡や注意をしたあと、最後に学年主任の都先生からお話があった。生徒たちの興奮も不安も様々なところ、都先生は女子生徒たちに対して、旅行中の生活と健康の話をされ、生理の話や便秘の話など言いにくいことについてもストレートにお話しされた。最後に「余計な心配しないでちゃんと千切りキャベツをいっぱい食べてればいいんですよ」みたいな言葉でしめくくり。生徒たちは、こんな率直な話にびっくりし、大拍手が起こった。先生の話のあとに、生徒から自然に拍手が起こるのは、なかなかまれなことなのである。
退職され、さらに70歳から絵画を学ばれ、多くの作品を描かれたとのこと。展示されている作品の一つに、「もし年をとって絵と出会っていなかったら、私はいったい何を楽しみにしていただろう」というような言葉があった。「都先生、よかったね。いい趣味に出会えて。素晴らしい作品でしたね」と私はつぶやいたのである。会場におられた先生の娘さんにご挨拶して、先生が晩年よくご主人と山歩きをされたことなどをお聞きした。ああやっぱりと思った。先生がよく訪れて絵を描かれていたという野草園を散策し、先生の最後の日々を偲んだのである。
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バイカオウレン
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