2012年の直木賞作品、辻村深月の『鍵のない夢を見る』を読む。辻村さんは、本屋大賞をとった『かがみの弧城』を読んだことがあるが、それ以来。『かがみの弧城』はかなり読ませる長編だったが、テーマが確か学校でのいじめだったかな、結構深刻なもので、今一つテイストが合わないと感じた記憶。
『鍵のない夢を見る』は、5つの短編をまとめたもので、鍵のない夢を見るというタイトルの短編はない、つまり、5つの作品全体テーマということなんだろうが、まずこのタイトルの意味がわからない…読後の今も。
それはさておき。この短編集の主人公は、地方で平凡な暮らしをしている若い女性で、作品は穏やかな書き出しから始まっていくのだが、やがてその女性が少しずつ異様な方向に傾いていくというもの。心もそうだし行動も、少しずつ変になっていくのである。これ英語で言うとweird という単語がぴったり。あくまで自分にとってだけど、「マイルドホラー」という感じがしていた。ここまでな人はいないだろうと思ったり、でもこの人どうなるんだろうと思って読み進めたり。その意味で、読者をうまくひっぱっていって、あっという間に結末に。ミステリー風味もあり、達者な人だと思った。ただし、自分はこの小説がうんと好きかというと、そうでもないのです。とりあえず、一気に読ませます。
*以下は直木賞受賞の選評
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