「図書館奇譚」村上春樹(新潮社)

村上春樹は同じ本を四度出している。一番最初は1983年の「カンガルー日和」の中の「図書館奇譚」、それを書き換えて「村上春樹全作品」に収めたのが二回目のバージョン、次に佐々木マキさんと絵本化してタイトルも「不思議な図書館」とした第3版。最後が2014年版のこの「図書館奇譚」。都合四回書き換えたとか。ドイツの出版社があらたにカット・メンシックというイラストレーターの挿絵で作りたいと申し出があり、内容も少し変えたのだとか。はっきり言って、すごく「美しい」本になっていて、イラスト、挿絵だけでも見る価値がある。
カット・メンシック描く「羊男」である。なかなか雰囲気があるでしょ?
ちなみに、佐々木マキさんが「カンガルー日和」で描いたイラストがこれ。

これはこれでとても好きなんですが。

さて、ストーリーだが、図書館の地下室に入り込んで捕らわれの身になった少年の小さな物語である。羊男、美少女、凶暴な黒犬、ムクドリ、邪悪な老人など、村上的アイコンがたっぷりでてきて、異空間の中で饒舌な少年の冒険が描かれる。イラスト込みで70ページほどなので、30分もあれば読めるかな。面白いです。


 

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