野中モモの「ZINE」、大修館の「品格語辞典」はいずれも今週の新聞書評でとりあげられたもの。ちょっと興味はあるが、買うのはためらわれるという本、図書館に入ったらそく借りだしをします。
あと二冊は、内田樹の「疲れすぎて眠れぬ夜のために」と内田百閒の「百鬼園百物語」。
前者は平成19年、2007年の古い本です。いつもの内田節、今も昔のままですね。銀色夏生の解説がついていたりする。銀色が初めて内田の本を読み、3年後に内田に会いに行くことになって、神戸から迎えにきてくれた内田が、ものすごく速足で…というくだり、なんとなく納得。喫茶店でお話を聞いたあと、次々これから書かなければならない仕事を数えあげ、どうしてそんなに忙しいのかと尋ねたら、仕事が好きだし、頼まれたらそれに応えてあげたくなると、そういって帰っていく内田の姿を、銀色は「そしてパワフルな大きなおなべはゆげをたてながら駅へと消えていきました」とあらわしている。
この本は、五つのテーマに沿って、30程のエッセイがそれぞれ小見出しをもって構成されているが、どれを読んでも内田の人間の善性への深い信頼が見てとれて、心地よい。そしていつもの内田流のレトリックが楽しめる。タイトルを紹介すると
・ワンランク下の自分に
・女性嫌悪の国アメリカがうんだサクセスモデル
・勝ち組、負け組とうことばはさもしい
・「ほんとうの自分」という作り話
・礼儀作法を守る意味
・どんな制度にも賞味期限がある
…etc
内田樹は、いつまでも変わらぬ、信じるに足りる言論人だと思う。
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