映画「CODA あいのうた」  映画「オデッセイ」(原題 The Martian )

コーダ あいのうた
2022年のアカデミー賞作品賞映画。家族愛がメインテーマで、まず泣ける。主人公を演じるエミリア・ジョーンズはこのとき19歳、若く美しく激しく、そして思いやりにあふれる少女を見事に演じている。主演女優賞をとるには経験不足はあっただろうが、魅力あふれる女優でこれからが楽しみ。






ストーリーはこんな感じ。
両親と兄三人が聾唖の家庭にそだった、健常者の妹が主人公。漁師の父と兄と一緒に船に乗り漁の手伝いをしながら高校に通っている。手話は完璧で、家族の通訳もかねており、家族からはなくてはならない存在である。
高校で選択した音楽の授業で、教師から歌の才能を見いだされ、音楽大学への進学を進められる。大いに迷うが、家族を捨ててはいけないと夢をあきらめようとする。高校最後のコンサートを見に来た両親と兄は、彼女の実力を周りの人の反応から知ることになる。はたして彼女はどんな進路をとることになるのか。

コンサートでデュエットする場面がびっくりするような演出。耳の聞こえない人たちの世界を映画が描き出してくれる。そして、父との最後の会話、母との子供の頃の思い出。クライマックスへの盛り上がりは、細かいカット割りを多用しながら、疾走するスピードで。

本当にいい映画で、アカデミー賞にふさわしい、明るくはればれとした作品だった。何より主人公を演じたエミリア・ジョーンズの達者ぶりに驚く。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
映画「オデッセイ」

2015年の映画。原作はアンディ・ウイアーの「火星の人(The Martian )」で、これはびっくりの面白さ。火星探索の途中で砂嵐のため、飛行士の一人が死んだものとして火星に取り残される。だが彼は生きていた。たった一人で、酸素を作り、水を作り、ジャガイモを育てる。そしていつ来るともわからぬ救助の日まで生き抜く決意をする。何年後のことだろうか。設定の意外さもさることながら、文体が画期的。主人公のマーク・ワトニーの短文の宇ウェブログで書かれていて、NASAと生き生きとしたウィットにあふれるやり取りが見事。小説は海外でも日本国内でもたくさんの賞をとった。

この原作をもとに2015年に映画が作られた。リドリー・スコット監督、マット・デイモンが主演。英語タイトルは、本のまま「The Martian」だが、日本で「オデッセイ」というダサいタイトルがつけられてしまった。火星は英語でMarsでその形容詞系がmartian(マーシャン)で、火星の運河は Martian canalとなる。ちなみに固有名詞なので、Mは常に大文字。





マークは生物学者という設定で、食用のジャガイモを火星の土と、水素と酸素で合成した水で芽をださせ、ついにジャガイモ畑を作ってしまう。見事。でもこれは事故で失われることになるのだが。サバイバルストーリーは新しいロビンソンクルーソー物語にもなっている。
結末がわかっていても、何度も見たくなる映画の一つ。SFでもスターウオーズのようなスペースオペラ系は、あまり関心はないが、このタイプの知的なものは結構好き。リドリースコット監督は好みで、エイリアン、ブレードランナー、テルマ&ルイーズなど、どれもお気に入り。




 

コメント