ロジャー・ムーアとジェームズ・ボンド ちょっといい話

内田樹さんのブログでリツイートされていた記事。ロジャームーアがすごくかっこいい話で、ツイート元の方が、5分くらいかかるけどぜひ読んでみてっていってます。記事は英語なので、日本語に翻訳してみました。「ちょっといい話」なので、お暇な折にでも。



私が7歳だった1983年のこと、まだ空港にファーストクラスラウンジがなかった時代に、私はコートダジュール空港で祖父と一緒にいて、ロジャー・ムーアが出発ロビーで新聞を読んでいるのを見かけた。ジェームズボンドがいるから、サインをもらいにいってもいいかと祖父に聞いた。祖父はジェームズボンドもロジャームーアのこともしらなかったけど、私を連れてロジャームーアのところに行き私を前に押してだして、
「孫があなたが有名人だと言っているんで、サインをしてやってくれませんか」
と頼んでくれた。

もちろんロジャーはにっこりして、私の名前を聞いて、航空券の裏にちゃんとサインをしてくれた。「幸運を」みたいな言葉が一杯書かれていた。私は胸がいっぱいにになって自分の座席に戻って、そのサインを見た。ところが、私には判別するのは難しかったのだが、でも絶対その文字は「ジェームズボンド」ではなかった。祖父がそれをのぞき込んで、多分「ロジャームーア」と書いてるよと言った。私はそれが誰か全くわからなかったので、がっかりしてしまった。私は祖父に、名前を間違えたんだ、誰か別の人の名前を書いたんだと言った。それで祖父はロジャームーアのところにそのチケットをもって戻っていった。

私は席に座ったままだったが、祖父が言ったのが聞こえたのを覚えている。
「この子はあなたが名前を間違えたと言っている。あなたの名前はジェームズボンドだと言っているんだが。」
彼は眉をちょっとあげて、ああそうかという顔をし、僕を手招きした。僕が彼の膝のあたりまで行くと、彼はかがんであたりを見回し、眉をあげて、ひそひそ声で言った。
「私はロジャームーアとサインしなきゃならないんだよ。そうしないと、スペクターの首領のブロッフェルドが私を見つけ出してしまうんだよ。」
彼は私に、ジェームズボンドを見かけたって誰にも言わないように頼み、秘密を守ってくれたら感謝すると言った。私は席に戻ったが、神経がすっかりガタガタ言っていたんだ。祖父は、ジェームズボンドって書いてくれたかって聞いてきたが、僕は
「ううん、僕が間違ってたんだ」
といった。私はその時、ボンドの仲間になっていた。

それからずいぶん経って、私はシナリオライターになってユニセフ関係の録音の仕事をしていたとき、ロジャームーアが親善大使としてちょっとした仕事をしてカメラに向かっていた。彼は本当に素敵だった。カメラマンがセッティングをしている間に、私は彼にコートダジュール空港で会ったときの話をしたら、彼は嬉しそうにそれを聞いてくれて、にこっと笑い、
「僕ははっきりは覚えんてないけど、でもあなたがジェームズボンドにあえて嬉しく思うよ」
と言ってくれた。本当にいい人だった。
でも、そのあと、彼はもっと素敵なことをしてくれたんだ。
撮影のあと、彼は廊下で私の前を通り、車のほうに向かっていたが、車の方に向かい廊下ですれ違ったときに、ちょっと背を丸め、辺りを見回して、眉をあげて、こっそりといった。
「もちろん、きみにコートダジュールで会ったことは覚えているよ。でも、そんなことはあの場では言えなかったんだ。だって、あのカメラマンたちの誰かが、ブロッフェルドの仲間かもしれないじゃないか。」
私は30歳だったけど、7歳のときと同じくらい嬉しかった。なんて人だ。なんて素敵な人なんだ、ってね。




Take 5 minutes to read maybe the greatest celebrity story ever. Told by Marc Haynes.
11:00 PM · Nov 14, 2022

 

コメント

  1. 名訳有難うございます!
    ちょいとより、かなり素敵なお話でしたね💕

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  2. 名前忘れました。カイエでした😅

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    1. カイエさん、コメントありがとうございます。よくできた話ですので、創作かもしれないけど、まあ、ちょっとしたショートストーリーですよね。内田さんのリツイートから撮った話です、私はツイッターはやらないので。
      寒くなり活動が低下中です。カイエさんも暖かくして冬に備えてくださいね。

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