映画「バベットの晩餐会」 ワインとフレンチと信仰と

「バベットの晩餐会」は1987年のデンマーク映画。同年のアカデミー外国語作品賞をとっている。


小さな漁村で牧師館を継いだ二人の娘。結婚せず、敬虔な祈りと善行の日々をおくっていたが、ある日フランス革命を逃れるため、この館に一人の女性がやってきた。姉の知り合いの音楽家のつてをたよってきたもので、メイドとしてこの家においてほしいという。境遇を哀れみ10数年一緒に暮らしたこのバベットという女性が、あるとき宝くじで大金を手にし、二人への恩返しとして、二人の亡くなった父の100回目の生誕祭に、晩餐会を開きたいと申し出る。バベットがパリから購入してきたみたこともない材料は、貧しく敬虔な二人と村人を畏怖させるのだが・・・バベットとは一体何者だったのか。

いまもある「バベットの晩餐会」のオフィシャルサイトには、こんな惹句が。
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「スクリーンから匂い立つ極上の風味。 美食のユートピアここにあり!来たるべきスローライフを予見し たグルメ映画の傑作!人生の至福と超絶技巧のフランス料理をぜひご 賞味あれ。」
*以下、サイトから少し写真をお借りした

晩餐会に供される料理はこんなもの:

 




このメニューについて、ワインライターの葉山幸太郎さんが詳しく解説してくれている。まずはメニュー表:

さらに詳しい一品ずつ料理とワインの解説は葉山さんの以下のサイトで:
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オフィシャルサイトでは、この映画をグルメ映画の傑作と紹介しているが、ちょっと違うような気がするのだけども。でも本質はそうなのかもしれない。
基本的に、19世紀末の北欧の人々の貧しく敬虔な暮らしぶりが、ひっそりと静かな映像で描かれていて、後半にメイドが作る美しく膨大なフレンチのコース料理の映像の対比が、映画に大きな推進力を与えているようだ。料理はこのメイドのバベットの天職であり、村人も、主人公の老姉妹も、その華麗で豊穣でとろけるような料理に神の力を感じとるというもの。
心温まる話であり、同時におなかが空いてくる映画でもあった。

ちなみに、葉山さんの計算では今の価値で言うと、一人40万の食事という話!いまのおしゃれなフレンチとはかなり違った雰囲気で、まず量の多さに圧倒される。スープにするウミガメは生きたまま。鶉も鳥かごで運んでくるのは、もちろん流通という概念のなかった時代の話。すべて手作業でこれだけのものをjust in timeで供するのも、料理人のスキルの一つに間違いない。

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