<未読の本の話です>
17日土曜の新聞書評でとりあげられていた、アレクシェービッチの「亜鉛の少年たち」は、旧ソ連時代のアフガン戦争をとりあげた作品で、徴兵されたソ連軍兵士の地獄のような戦場の様子、帰国後の差別などを「聞き書き」の手法で描いたもの。1990年代の作品だが、その後取り扱った「帰還兵」やその家族からの「名誉棄損」の訴えが続き、その裁判記録もすべて含めての増補版ということで、今回出版された。さっそく図書館で借りれたらいいな。この手の本は、うちの図書館(大崎市図書館)ではあまり人気がないので、大丈夫かも。
アレクシェービッチはこれまで「チェルノブイリの祈り」「戦争は女の顔をしていない」を読了。読んですぐ、これは大傑作と思った。岩波現代文庫だったので、膨大なインタビューをもとに構成された原発爆発の真実、独ソ戦の真実が巨大なイメージをむすぶ。圧倒的なテーマを、夥しい証言をもとにモザイクを作り上げるように、解き明かしていく。ノーベル文学賞を受賞したときに、ルポルタージュとかジャーナリズムとかとの境界線がどこにあるのかと問われていた。
むろん、我々読者はノーベル賞とか文学の立場に立つのでなく、読者として「言葉の持つ力」の側にたって、読む本を選べばいいということ。
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あわせて、以下の本にもとても興味を惹かれた。いくつかを読むつもり。
1)草の根のファシズム 日本民衆の戦争体験 岩波現代文庫
2)そこから青い闇がささやき ベオグラード、戦争と言葉 ちくま文庫 山崎佳代子
3)女たちのシベリア抑留 文春文庫 小柳ちひろ
4)宮本常一の旅学 観文研の旅人たち 福田晴子
こんにちは
返信削除村上春樹氏の代表作はあらかた読みましたがカート・ヴォネガットは未読と思います。洋物は新潮クレストブックスで選び読むのが多くなりました。アリ・スミス、ベンハルト・シェリング、アリス・モンロー他、山の本などなど、、。図書館本を消化するのに追われて、冊子の「波」すら1年分くらい積読状態です。しかし乍ら読了後暫く経つと、作品の粗筋すら忘失する体たらくになりました。まったく読んでいるときだけの快楽で、身につくような益にはなっていないと思います。チェコの「おばあさん」は半分くらいまで来て、それなりにですが、、敢えて強く推奨するまでではないかもです。
9/17の朝日読書欄、「亜鉛の少年達、、、」と「宮本常一の旅学、、」は図書館予約したいと思っています。
それからカート・ヴォネガット、「読まずに死ぬな」というフレーズ見ましたので、こちらも借り出ししようと思います。ご紹介感謝です。※「いけない」、図書館のマイライブラリィをチェックしましたら、次回借り出し順番になっていました、楽しみです。 cahier
お返事遅れました。すみません。カート・ヴォネガットは未読でしたら、しばらくの間読書の楽しみがありますね。どれも読みごたえがあります。「読まずに死ぬな」というのはなかなかの殺し文句ですね。でもヴォネガットだけじゃなくて、きっとそういう本は私にってもたくさんあるでしょう。読書家のカイエさんなら、その数は少ないと思いますが。
削除読んだ本の内容を思い出せない…あるあるですw 逆に言うと、昔すごく面白かった記憶のある本を、再読する楽しみがある、と思えばいいじゃないですか。大江の初期の作品とか安倍公房とか、今読むとどうなんだろう。あるいはもっと直近で、村上春樹の「1Q84」とかも、カルト話題の今読むと、別の面白さもあるかもしれない。
山は紅葉の季節になりましたね。今年は冷え込みが遅いので色づきもどうだか。それでもこの時期は楽しみであります。