こんな「石仏」の詩、静かな冬ざれた山歩きを楽しむ人はきっと思い当たるはず。
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うしろで
優雅な、低い話声がする。
ふりかえると
人はいなくて
温顔の石仏が三体
ふっと
口をつぐんでしまわれた。
秋があまりに静かなので
石仏であることを
お忘れになって
お話などなさったらしい。
・・・・・・・・・略
吉野弘の詩は広く読まれていて、たとえば「祝婚歌」は結婚式の祝辞などに使われるとか。
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正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
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「夕焼け」もとても好きな詩の一つ
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やさしい心の持ち主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
何故って
やさしい心の持ち主は
他人のつらさを自分のつらさのように感じるから。
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吉野弘の最高の作品は「I was born」だと思う。これは高校時代の国語の教科書に載っていた。今でも若い人は読むのだろうか。吉野弘のというより、日本の現代詩(散文詩)の最高傑作であり、もっとも美しい日本語の一つだと信じる。
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茨木のり子さん「詩の心を読む」(岩波ジュニア新書)
茨木さんの詩はたくさん読んできたが、この人は詩の「目利き」でもあり、お勧めの現代詩はどれも自分のお気に入りになっている。この本、1979年が初版で、長い年月の中で、繰り返し読んできた本の一つである。
「茨木のり子の献立帖」(平凡社)「茨木のり子の家」(平凡社)
詩の本じゃないけど、どっちもとても素敵な本だ。献立が豪華なわけでもないし、家が大きいわけでもない。どちらかといえば、普通の食事、普通の家具と普通の庭のこと。どうしてこのようにしっかりと根っこがあるのかなと思う。
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赤城美知子「野菜と果物のおもてなしレシピ」(誠文堂)、吉川ひなの「吉川食堂」(宝島社)
野菜料理が好きで、作るのも好き。ただし、まだまだ自分で無限にオリジナル料理を作れる才能はないので、いろんな人の本を参考にする。見ていても楽しいし。やはりこの年になると「健康的な食事」が一番。「吉川食堂」はぜひ自分でも購入したいと思った。これはいい料理本。
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