「あえのがたり」朝井リョウ、柚木麻子、小川哲、今村省吾、他

能登地震の支援企画かな。若手作家たちが短編集を持ち寄り、チャリティ小説として仕上げたもの。「あえのこと」が能登方言でもてなしの祭り、「あえがたり」がおもてなしのお話、ということだろうか。2025年1月20日初版。
10篇の作品は、テーマが「もてなし」ということだけで、あとは作家にまかされて、かならずしも能登が舞台になっているわけでなく、それぞれが想像力を駆使して20ページ程度の短編を書いている。どれも、退屈するものはなく、かといって短いのであっという間に終わるもったいなさもあるのだが、まずまず楽しめた。やはり柚月麻子は面白い。「限界遠藤のおもてなしチャレンジ」タイトルからして遊ぶ気たっぷりで、料理の話とちょっと人情物が、若者言葉で綴られて、なかなか「ぶっとんでて」とっても楽しい。
今村翔吾も上手い。蝉谷めぐ実の「溶姫の赤門」は、初めて読んだ時代小説作家だが、若くてこんなの書ける才能にびっくり。徳川家の第11代将軍家斉の第21女にあたる溶姫が、加賀藩主前田斉泰に輿入れした際に、建てられた赤門のエピソード。今は東大の赤門として人々に知られているが、こんな由来があったのか。小さな話だけど、時代ものの雰囲気が本当にうまい。二か所ほどでてくる、「…しちゃって」的な、遊びの表現、格調高い古語風の世界にとびだして、これも「遊び」なんだろうが、なんというか、可愛い。
他、どの作品も作家のオリジナリティが発揮されて、とっても個性的で楽しめた。
 

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