原発をどうするか 1月11日(土)の朝日新聞から

女川方面を歩くことが多いので、女川原発のことが気になる。再稼働が始まったが、本当にこれでよかったのかと考える県民は多いはず。女川・石巻地区の地方経済の話はさておき、本質的な議論がなされるべきで、それをほとんど議論もなく進めてしまうのはあまりに拙速と感じていた。「じゃあ、日本のエネルギーをどうするんだ」という声に対して、以下の記事がわかりやすい反論となっていると思う。


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政府は、生成AI関係でこれからどんどん電力需要が増すと考え、「原発を最大限活用する」という方針を打ち出している。女川の原発再稼働もその流れの一つ。電力不足を危惧するこうした考えは、一見まともにみえるけれど、「オオカミ少年」的な議論だと、東北大の明日香教授は述べている。

1)電力はどのくらい不足するのか。

電力不足がどれくらいのものになるか。様々な予測がされているが、一番大きな予測でも必要電力の増加は年率で1%程度と言われる。原発で対応しなくても、再生エネルギーと省エネで十分対応可能な範囲だとのこと。

2)省エネについて

データセンターの運転コストの大半は電気代で、事業者にとっては省エネ技術は死活問題。研究もされているし、他の分野の省エネ能力もかなり高い。

3)原発再稼働で電力料金は下がるか

下がるところもあるし、上がるところもある。各電力会社による。関西電力や九州電力は値下げされたが、四国電力は下がっていない。東北電力は、2か月分の割引はするが、本格的に値下げはしない。

4)なぜ値下げできないか

再稼働には多額の安全対策費が必要だから。電力会社は簡単に値下げはできない。まして新設する場合はさらに費用がかさみ、電気代金は高くなると予想される。

5)日本の再エネのコストは高い

世界では再エネのコストは下がり、原発のコストが増加している。日本は逆で、原発や火力などの化石燃料を維持する補助金などが増えている。太陽光や風力の補助を減らしている有様。世界と真逆で、日本はガラパゴス状態である。

6)メガソーラーの(環境)問題はどうするか

メガソーラーには反対だが、屋根の上の太陽光や農業と太陽光を組み合わせるソーラーシェアリング、洋上風力のポテンシャルは高い。

7)再エネは天気や時間帯に左右され、不安定な電力では。

蓄電池や省エネの組み合わせで対応できる。再エネの割合が高い国はいくらでもあるが、停電が起こっているわけでもない。

8)原発はどうすればいいか

40年、60年の運転期間の制限があるから減っていくはず。新設はこれからだと一基数兆円になる可能性があり、電気代や税金として国民負担となる。経済合理性がないため、原発は世界でも衰退産業である。政府は、再エネ、省エネ、蓄電池への投資を進めるべき。それがエネルギーの安定供給、電気代低減、雇用創出につながるはず。

  * 文章は朝日新聞の明日香教授のインタビューによったが、適宜語句を変えているので、文責は自分にある。

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