「謎の香りはパン屋から」土屋うさぎ(宝島社)

2025年の「このミステリーがすごい大賞」受賞作品。本屋大賞にもノミネートされた。
作者の土屋うさぎさんは、1998年生まれで、大阪大学工学部応用理工学科中退。現在は漫画アシスタント兼漫画家で、コミックでも賞をもらっているという異色の経歴の方。
「このミス」大賞だが、殺人とか窃盗とかの事件は起こらず。ミステリー=謎解きという意味で、身の回りで起こった「不思議な事件」を、主人公のパン屋のバイトさんが次々と解決していくというもの。全体が5つの短編になっており、すべてパンの名前がついた短編集となっている。クロワッサン、フランスパン、シナモンロール、チョココロネ、カレーパン…
どれをとってもおいしそうなパンをめぐるエピソードと小さな謎。
主人公の市原小春は大学1年生、まだパン屋のアルバイトを始めて数か月しかたっていない。厳しくも優しい店長と、同じようなバイト仲間の女性たちに囲まれ、漫画家志望の小春の日常は明るく楽しい生活を送っている。バイト仲間やお客さんのちょっとした事件や悩み事を、注意深い観察力と明晰な推理で次々と解決していく。事件といっても嫌な出来事や嫌な人物は現れず、どの短編もほのぼのとした読後感。これも評価された点だろうか。
軽い小説で、寝ながらあっという間に読める。ちょっと物足りないぐらい。カレーパンの話がしみじみとしてよかったな。

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